DXとモノづくりでバイオの未来を拓く

この数年で、デジタル化の推進と普及はめざましく進み、我々の生活様式を大きく変えようとしています。血の通わない無味乾燥とした社会への変貌を嫌う向きもありますが、人々が自身のライフスタイルや変化に対応できる、多様性のあるシステムや社会実装は、これからの未来にとって欠かせないものです。

我々は、バイオテクノロジー・ライフサイエンス分野の黎明期から、様々な研究事業を支援・促進してきました。いまや、我が国の素晴らしい研究者の知恵と努力で結実しつつあり、日本独自の技術や可能性が幾つも生まれようとしています。

我々は、これから日本が当分野におけるプレゼンスを発揮し続け、世界市場での優位性を獲得するために、我々のような支援産業ができることは何なのだろうかと自問します。

Digital Transformation for Research

バイオテクノロジー・ライフサイエンスは、最先端の研究・事業領域です。しかしその運営の内実は、まだまだ旧泰然とした手法が継承し続けられている現実があります。これは日本の国民性が保守的かつ堅実的で、変革やリスクに対し敏感なことも一因であるでしょう。

大学や公的研究機関、企業など、その主旨や規模は異なりますが、事業をポートフォリオ化し、その強みと弱み、向かうべき方向を正しく理解しすることは非常に重要なことです。
スタッフの入れ替わりや世代交代、事業・研究の方針転換、外部との連携など、様々な変化に柔軟に対応していくためには、「研究者が自身の研究に傾注できる」環境と仕組みづくりが何より大切だと思うのです。

DXはDigital Transformationの略であり、直訳すると「デジタルによる変容」となります。単にIT化やIoT化を進めることではなく、IT/IoTの力をもって仕事そのものを変容(変革)させることが、DXの真の意図だと言えます。

研究現場における検体管理の再構築

研究検体の保管・管理の実情

一例として、研究現場における検体管理に目を向けてみましょう。
研究に利用される、細胞やDNA、菌体、化合物などのサンプルは、一括りに「検体(Specimen)」と表現されます。しかし、これらは研究にとっては欠かせない資源です。研究成果を生み出す「金の卵」であり、いわば資産とも言えるものです。

しかし実態としては、これら重要な資産は液体窒素容器や超低温フリーザーに保管されていますが、厳密な管理がなされている訳ではありません。また、サンプルの棚卸やラベルの貼付け、入出庫に多くのリソースが割かれており、研究者にとって「厄介な手のかかる業務」となっています。

「研究者が自身の研究に傾注できる」ためには、直接的な研究業務と間接的な業務を正しく切り分け、必要な情報がいつでも入手でき、かつ適切な管理と運用ができるスキーム作りが必要だと我々は考えます。

DXとモノづくりで研究分野を支える

我々は創業以前より、このテーマにいち早く取り組んできました。
100%自社開発の検体管理ソフトウェア「SampleConductor Pro」を基軸として、検体の自動識別やラベリング支援などのソリューションをご提供しています。

SampleConductor Pro 検体管理ソフトウェア幸いにして近年、クラウド化の潮流とITインフラの整備が急速に進んだことで、我々のようなスタートアップであっても、最新の技術を利用したシステムづくりを構築できる環境が整いつつあります。

物流業・サービス業におけるDXは先んじて普及モデルがあり、これらのソリューションを研究分野にマッチできるようアレンジし、独自の味付けをすることが可能になりました。既存の実績ある技術を水平展開し、研究分野に活用できる「ソリューション」とする可能性に日々取り組んでいます。そういう意味では、我々にとってのDigital Transformationは、Digital Translationであるかもしれません。

次世代の検体管理ソリューションに向けて

これからも、我々はスタートアップならでは機動力と提案力で、研究分野を支えるパートナーとなれるよう、日々取り組んでまいります。